自己肯定感を高めようとしてはいけない理由
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ワンランク上にシンカするための一歩ブログ
中小企業の経営者として必要な知識やスキルがあるとしたら、それは何でしょうか?
もちろん、会社の経営に必要な知識やスキルは数え切れないほどあります。
しかし、当然ながらすべてを一気に身につけることは不可能です。
優先順位を決めてひとつひとつ修得していくしかありません。
では、その優先順位はどうやって決めればいいのでしょうか?
経営者に必要な知識やスキルは大きく分類すると「発展・拡大するための知識・スキル」と「危機を回避するための知識・スキル」に分けられます。
どちらを優先するかはその人の考え方次第ですが、私だったら、危機を回避することを優先したいと考えます。
なぜなら、失敗して苦痛を感じるのをできるだけ避けたいからです。
傷つくことを厭わずにブルドーザーのように前進できる鋼のメンタルの持ち主であれば別ですが、繊細な感覚を持つ経営者であるならば、なるべく失敗を避けて前進したほうが、精神的に安定して気持ちよく会社経営に専念できると思うのです。
私は、社長として17年間、中小企業の経営に携わってきました。
おかげさまで、売上3億・社員数20名の状態から、売上9億・社員数50名にまで発展してくることができましたが、その過程で、いろいろなトラブルを経験しました。
ああしておけばよかったという後悔もいっぱいあります。そういった苦い体験を通して痛感しているのが、次の4つの知識とスキルの必要性です。
これらはまさに「危機を回避するための知識・スキル」です。これらを抑えておくことで、悩みやストレスを最小限にして経営を楽しむことができる確率が上がるのは間違いありません。
では、以下にひとつひとつ、これらが必要な理由を詳しく述べていきたいと思います。
会社を存続させるためには資金繰りをショートさせないことが必要です。
そのために欠かせないのが、財務と税務の会計知識です。
特に、税務の基礎知識は必須で、売上や利益に対して税金がどのくらい生じるかを考慮しておかないと、気づいたら資金不足に陥って慌ててしまうことになりかねません。
詳しい計算は顧問税理士にやってもらえばいいのですが、年単位の資金繰り計画を考える上では、どういうときにどのような税金がかかるのか、基礎的な知識を持ち合わせいたほうがいいと思います。
また、財務の知識は資金調達の際に重要で、自社の財務状況を金融機関や関係機関に説明するときに、経営者が財務の基礎を分かっていることは必須です。
会社を経営するためには必ずと言っていいほど社員を雇用します。
ですから、労働関係のリスク回避だったり、積極的な人材活用のためにも、経営者として、労務に関する基本的な知識を常にアップデートしておきたいところです。
いわゆるブラック企業のように人材を使い捨てするのは論外として、労働関連法規を遵守して社員が働きやすい環境を整備することは、今後ますます会社の死活問題として重要視されるでしょう。
労働関連法規を守らないことで最終的に痛い目を見るのは会社であり経営者です。
具体的な手続きや作業は、社労士や専任の担当者に任せたとしても、経営者として最低限の知識は持っておくべきだと思います。
今は、人を雇うと給与だけでなく様々な関連コストがかかる時代になっていることを覚悟しておく時代になってきているのです。
契約書を制する者はビジネスを制す、という言葉はありませんが、あながち間違っていないのではないかと思います。
顧客との売買契約、業務提携の契約、請負業者との委託契約、店舗展開の際の賃貸借契約、社員との雇用契約など、すべてのビジネス行為は契約に基づいて行われます。
締結した契約内容の中に、自社にとって都合の悪い部分があることが判明したとしても、後の祭りです。
相手方の同意なしで内容の修正変更はできませんので、いったん契約してしまったら、契約書に従うしかありません。
そういった後悔を回避するためにも、しっかりと条文を理解するスキルと、さまざまなケースを想像するスキルは磨いておきたいものです。
顧問弁護士に確認してもらうとしても、すべて弁護士任せにするのではなく、重要な部分を押さえられるスキルを、経営者としては持っておくべきでしょう。
会社の経営にストレスはつきものです。
経営者はその重責ゆえに、社内で誰よりもストレスを背負います。
そもそも、まったくストレスを抱えずに経営することはあり得ません。
会社が小さければ小さいなりのストレスがありますし、会社が大きくなればストレスの種類も増えて、その深刻さも増していきます。
だからこそ、経営者にとってストレス対処スキルは絶対に必要です。
このスキルがないと、ストレスによってつい感情的になってしまい、社員・顧客・外部協力者・家族との関係を悪化させたり、冷静さを欠いて経営判断を間違ったり、ストレス性疾患によって身体を壊すことにもなりかねません。
しかも、経営者のストレスは、社内全体に大きな影響を及ぼします。
社内がギスギスした雰囲気になってハラスメントが横行するようになったり、社員がうつ病になったり、社内不正やごまかしが生じるなど、経営者自身が苦しむだけでなく、社員までも追い込むことにつながる場合があるのです。
そうならないように、経営者がストレス対処スキルを身につけることは非常に重要なことなのです。
想像してみてください。
経営者がストレスをうまく処理できるようになり、社員全員が気持ちよく仕事ができるようなったら、会社はどのように変わるでしょうか?
経営者自身、そして、社員の幸せのためにも、経営者にはぜひこのスキルを身につけて欲しいと私は声を大にして言いたいです。
では、以上の4つの知識とスキルを身につけるには、どうすればいいでしょうか?
いろいろな方法があると思いますが、参考までに、私がどうやって勉強してきたかを簡単にご紹介したいと思います。
まず「財務と税務の知識」ですが、私は20代前半で簿記3級を取得しています。
大学卒業後に最初に入った会社は、ありがたいことに新人研修が充実していて、研修の一貫として簿記の研修があり、そこで資格取得の勉強をさせていただきました。
会計の仕事に就かない限り、経営者にとっては簿記3級の知識があれば十分だと思います。あとは、経営の実務を通して、その都度、顧問税理士に質問しながら知識を磨いていけばいいでしょう。
ただ、税理士に質問をする際、ある程度の会計知識がないと質問すらできないので、やはり最低限の知識は必要で、まったく会計のことがわからないという人の場合は、初心者向けの会計の本を読んで少しずつ慣れ親しんでいくといいと思います。
次に「労務に関する知識」と「契約に関するスキル」ですが、私の場合、必要に迫られて付け焼刃的にその都度学ぶことを繰り返しているうちに、ある程度の知識やスキルが身についてきました。
社労士や弁護士になる勉強をするのもアリかもしれませんが、個人的体験としては、会計知識ほど頻繁に使わないので、必要なときに集中的に勉強したり、社労士や弁護士に質問して理解していけばいいのかな、と思っています。
もちろん、最低限の知識は覚えておくに越したことがないので、この場合も、初心者向けの本を探して少しずつ読んで、いざというときのために備えておくといいかもしれません。
最後に「ストレス対処スキル」ですが、私はかつて人間関係の悩みでどうしようもない状態に陥ってしまい、藁をもすがる思いで心理カウンセリングを受けました。
そして、カウンセラーのサポートを受けながら悩みの解消に取り組む過程で、人間心理の奥深さに興味を持ち、私自身がカウンセラーの勉強をして資格を取りました。
一般の経営者は、私のようにカウンセリングの資格を取るまで勉強する必要はもちろんありません。
ただ、ストレス対処の本を読んだり講演を聞いて得られる以上の知識やスキルを、経営者として身につけておいたほうがいいと、私は思っています。
なぜなら、人間の心理に関する知識やスキルは、対人コミュニケーションにおいて、とても役立つからです。
社員の不満解消やモチベーションアップ、接客やクレーム対応にも応用可能で、ストレスを溜め込まない組織づくりの実現のために非常に有効です。それが翻って、経営者自身のストレス軽減にもつながります。
では、「本や講演以上、カウンセラー未満」の知識やスキルを身につけるには、どうすればいいのでしょうか?
私の経験から言うとしたら、たくさんやるべきことがあって忙しい経営者が、効率的かつ確実に身につけるためのポイントは次の3つです。
新しい知識やスキルを身につけるには、ある程度の期間、繰り返し学ぶ必要があります。
そして、心理学の専門家になるわけではなく、あくまでもビジネスに活用していくのが目的だと思いますので、必要最低限のことを厳選して学ぶことが、効率的に身につけていくためには有効です。
さらに言えば、心理学の専門知識がない初心者でも理解できるように、わかりやすく説明できる指導者から学ぶことも重要です。
ここで少し宣伝させていただくと、私は、経営者・管理職・リーダーとしてのメンタルを身につけるための考え方をこのホームページやTwitterで発信しています。もしよかったら、お読みいただいてお役立てください。
経営者ご自身のみならず、社員や顧客そして社長の家族、皆が幸せになるために、私の情報がお役に立てば幸いです。
ストレス対処スキルを身につけたい方は、ぜひこちらも読んでみてください。